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日本被団協にマスク 韓国原爆被害者協会 1万2000枚 「苦しみ分かち合う」

 在韓被爆者でつくる韓国原爆被害者協会(本部・陜川(ハプチョン))は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1万2千枚のマスクを日本被団協に寄贈した。被団協は地方の被爆者団体などに送り、全国の被爆者にコロナの感染防止に役立ててもらう。

 使い捨ての不織布と、洗えるウレタン製の2タイプが17日、東京都港区の被団協の事務所へ段ボール8箱で届いた。被団協は全国にある地方組織41団体に240枚ずつ宅配便で送り、残りの活用方法は今後検討するという。

 日本国内でマスク不足が深刻だった4月、韓国原爆被害者協会側から支援の申し入れがあった。被団協は「友情を励みに、さらに運動を進める」との礼状をメールで返した。

 被団協は、在韓被爆者の被爆者健康手帳の取得を支援したり、韓国での慰霊祭に役員を派遣したりして交流を重ねてきた。被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(88)は「日本の被爆者を支援しようとしてくれる気持ちがとてもありがたい」と感謝していた。

 同協会によると、被爆者や市民団体などから寄せられたマスクを一括して発送したという。李圭烈(イ・ギュヨル)会長は「被爆体験を持つ者同士、現在の苦しみを分かち合いたい。日韓の政治対立が続いても、被爆者は変わらぬ協力関係を続けたい」と話している。(河野揚、小林可奈)

(2020年8月31日朝刊掲載)

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