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ヒロシマ 実効性を注視 米戦略核削減方針 評価と懐疑交錯

 オバマ米大統領が訪問中のドイツ・ベルリンでの演説で核兵器のさらなる削減に踏み切る決意を示したのを受け、被爆地広島には19日、評価と期待の声が上がった。受け止めにはしかし、冷めた見方も交錯する。4年前にオバマ氏が「核兵器のない世界」を訴えた後も、米国が核実験を続けているからだ。

 広島市の松井一実市長は「核兵器のない世界の実現への決意を強く示しており、歓迎したい。核兵器廃絶に向け、引き続き強い指導力を発揮してほしい」と評価した。

 県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長は「新たな削減案は評価できる」とした上で、「たとえ数発でも核兵器はあるだけで脅威。率先して核兵器廃絶に取り組んで」と求める。

 一方、核兵器の性能を調べる新たなタイプの核実験を繰り返す米国。もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長は「数を減らしても核兵器の性能を高めては意味がない」と強調。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表も「具体的な政策が見えないと評価はできない」と懐疑的だ。

 新たな削減案は、米国の一方的な削減ではなく、ロシアも同様の削減に同意することが前提となる。広島修道大の佐渡紀子准教授(国際安全保障)は「米ロだけではなく、いかに他の核保有国を巻き込むかが重要。核を使って安全を守るという発想を乗り越えない限り、廃絶にはつながらない」と指摘する。

(2013年6月20日朝刊掲載)

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