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米戦略核を3分の1削減

 オバマ米大統領は19日、訪問中のドイツ・ベルリンで演説し、核政策をめぐる新方針を表明した。ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)に基づき1550発まで減らす配備済み戦略核弾頭を、さらに最大3分の1減らし、千発水準にする用意があるとの内容が柱。欧州に配備され、同条約の対象外となっている射程の短い戦術核の削減も目指す。

 「核兵器が存在する限り、われわれは完全に安泰ではない」と演説で指摘。2009年4月、チェコのプラハでの演説で示した「核兵器のない世界」構想を前進させる決意を強調した。ただ、核兵器が世界に存在する限り、保有核の近代化などを通して、米国や同盟国を守る抑止力を維持する姿勢も明確にしている。

 新方針のポイントは次の通り。

 一、新戦略兵器削減条約(新START)に基づき1550発まで削減する配備済み戦略核を、千発水準まで減らす用意
    がある。
 一、欧州に配備中の戦術核の削減に取り組む。戦略核、戦術核の削減はロシアとの交渉を通じて実現を図る。
 一、米国とその同盟国への攻撃を思いとどまらせるのに十分な核抑止力を維持する。
 一、イランと北朝鮮に圧力をかけ、核兵器の拡散を防止する。
 一、ロシア、中国との「戦略的安定性」の維持・改善に努める。
 一、2016年に米国で核安全保障サミットを開催する。
 一、包括的核実験禁止条約(CTBT)批准に向け議会への働き掛けを続ける。

新戦略兵器削減条約(新START)
 米国とロシアが2010年4月に調印した新たな核軍縮条約で、長距離型の戦略核兵器が対象。戦略核兵器の配備数を初めて制限した第1次戦略兵器削減条約(START1、09年末に失効)の後継条約として、11年2月に発効した。7年以内に配備戦略核弾頭数を1550、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの運搬手段総数を800と、米ロの核軍縮史上最低水準まで制限したが、未配備の予備用戦略核弾頭や短距離型の戦術核は対象外とした。

(2013年6月20日朝刊掲載)

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