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共鳴する平和への思い 若手2作曲家、「ヒロシマ」テーマに現代音楽

 現代音楽の若手作曲家2人が「ヒロシマ」をテーマに書き下ろした曲の演奏会が29日、広島市中区のアステールプラザである。安芸区出身の世界的作曲家、細川俊夫が音楽監督を務める「HIROSHIMA HAPPY NEW EAR」シリーズの14回目。「次世代の作曲家」として細川が選んだ2人の平和への思いが共鳴する。(松本大典)

 作曲を任されたのは、大阪音楽大などの非常勤講師で現代音楽演奏団体のプロデュースを手掛ける福井とも子と、国立音楽大准教授の渡辺俊哉。

 福井は、「途切れた歌」を意味する「断歌」というタイトルの曲をしたためた。被爆地の歴史にいかに向き合うか、「とても悩んだ」と強調。「断裂、決断など『断』にはいろいろな意味がある。それぞれに感じてほしい」と思いを語る。

 渡辺が作った「影法師」は、「多様な楽器が集まってできることは何か」を意識したという。「さまざまな音色、大きさがあって音の遠近感が生まれる。濃淡さまざまな記憶が現れては消え、折り重なっていくように…」とイメージを描いた。

 演奏は、広島交響楽団が担当。昨年、細川作曲のオペラ「班女」の広島公演を指揮した名古屋フィルハーモニー交響楽団の若手指揮者、川瀬賢太郎がタクトを振る。日本初演となる細川作曲の尺八協奏曲「旅X―野ざらし―VoyageX」なども披露し、細川のトークもある。

 午後3時開演。一般3千円(前売り2500円)、学生2千円(同1500円)。ひろしまオペラ・音楽推進委員会、中国新聞社など主催。同委員会(アステールプラザ内)Tel082(244)8000。

(2013年6月22日朝刊掲載)

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