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似島戦争遺構 ガイド養成 広島市、来春始動へ連続講座 1日から募集

 広島市は1日、似島(南区)の戦争遺構を訪れる修学旅行生たちを案内するボランティアガイドの募集を始める。現在は島民たちが案内役をしているが、人数が少なく、高齢者もいるため、島内外から人材を募集。連続講座で島の歴史を学んでもらい、来春からの始動を目指す。(寺本菜摘)

 似島は日清戦争から太平洋戦争にかけて軍用施設が整備され、原爆投下時は負傷者を受け入れた。検疫所に続く軍用桟橋や、軍馬の検疫を担った馬匹検疫所の焼却炉跡のほか、慰霊碑も多く残る。

 昨年は、県内外の小中学校56校の計4103人が修学旅行の平和学習で島を訪問。地元の郷土史研究家の宮崎佳都夫さん(72)を中心に、市の文化財団「似島臨海少年自然の家」の職員たち5人が協力して案内役を務めた。ただ、一度に200人を受け入れることもあり、人手が足りないため、ガイドを養成する。

 ガイドは18歳以上を対象に30人を募集し、先着順で受け付ける。応募者は11月から来年3月まで計6回の講座を受け、宮崎さんたちから島の歴史を学ぶほか、安芸小富士(278メートル)や自然海岸などの島の魅力についても理解を深める。模擬ガイドも予定する。受講には資料代として各回500円が必要となる。

 受講後は、住民や島に関わる人が9月に設立した似島歴史ボランティアガイドの会に加わり、順次ガイド活動を始める。釣りや登山、サイクリングの来島者も多く、平和学習以外の観光ガイドも視野に入れる。

 説明板がない戦争遺構もあることから、市は説明板の設置も進める方針。南区地域起こし推進課の与倉伸二課長は「似島の歴史や魅力の発信が市としても足りていなかった。これを機に島の魅力も再発見したい」としている。同課☎082(250)8935。

(2020年10月1日朝刊掲載)

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