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被爆者とがん 研究成果報告 広島で癌学会学術総会

 日本癌(がん)学会の学術総会が1日、広島市中区のホテルで始まった。広島での学術総会の開催は21年ぶりで2回目。初日は特別企画「放射線とがん―被爆75年を経て」があり、広島と長崎の研究者が被爆者や被爆2世についての研究成果を報告した。

 広島大の鎌田七男名誉教授(83)は、広島原爆の爆心地から半径500メートル以内で被爆した生存者78人の追跡調査について発表した。ことし3月末時点で7人が生存していると紹介。78人のうち二つ以上のがんを発症した人が7人いて、1人は四つのがんが重複していたと報告した。家族や財産を失ったり、結婚や仕事で差別を受けたりしたとし「爆心地の近くで被爆した人は、『生涯虐待』の状況であると言っても過言ではない」と訴えた。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、各会場の定員を最大収容人数の3割未満にとどめ、ウェブでも配信する。総会は3日まで。がん免疫療法をテーマにしたシンポジウムなどがある。

(2020年10月2日朝刊掲載)

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