×

ニュース

黒い雨再検証に派遣 広島市長、職員参加受諾へ

 原爆投下後に降った「黒い雨」の被害を巡り政府が進める援護対象区域の再検証作業について、広島市の松井一実市長は2日、政府から市職員に参加するよう打診を受けたと明らかにした。市長は8月に参加を要請していた。市は受諾する方針で人選を進める。

 松井市長は市役所での記者会見で、9月25日に厚生労働省から検証に参加する人選を求めるメールが届いたと説明。検証の方法や日程など「詳しい内容は伝えられていない」とした。

 松井市長は「年度内には検証を始めてほしい。科学的知見を超え、被爆者援護の視点で政治判断を求めたい」と、対象区域拡大による救済をあらためて訴えた。広島県にも同日、同じ依頼が届いたという。

 検証作業を巡っては、市と県が8月、職員の参加を厚労省に要望。同省は来年度予算の概算要求に、費用として約1億5千万円を盛り込んでいる。

 黒い雨の被害では、7月の広島地裁判決は区域外で雨に遭い健康被害を訴える原告84人全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付するよう被告の市と県に命じた。市と県、訴訟に参加する厚労省は8月、広島高裁に控訴。同省は並行し、援護対象区域について拡大を視野に検証を進めるとしている。(明知隼二)

(2020年10月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ