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イラン最優秀博物館に「テヘラン平和博物館」 広島と草の根交流

 原爆と毒ガスの被害を伝えるイランの「テヘラン平和博物館」が、同国内で最も優れた博物館に選ばれた。広島との草の根交流によって、核開発疑惑国の首都に開館した反核平和の発信拠点の評価が高まっている。(新山京子)

 テヘラン市の公園内にある。運営は現地NGO(非政府組織)の化学兵器被害者支援協会(SCWVS)。広さ約500平方メートルの館内には、広島平和文化センター(広島市中区)が作った写真ポスターや、イラン・イラク戦争での毒ガス被害の記録などが並ぶ。

 NGO国際博物館会議(本部フランス)のイラン人会員が5月、授賞を決めた。広島を手本に取り入れた毒ガス被害者の証言活動、軍縮の集いの開催などが認められた。

 東区のNPO法人「モーストの会」とSCWVSの交流は2004年に始まった。毒ガス被害者がほぼ毎年、広島市を訪れて平和記念式典に参加している。

 体験継承の大切さを痛感した毒ガス被害者が帰国後、平和博物館の設置を提案。市から建物が寄贈され、07年に開館した。原爆資料の大半は、毒ガス被害者が原爆資料館(中区)から譲り受け、持ち帰ったものだ。改装オープンした11年には、原爆展も開いた。

 米国はことし6月中旬、シリア内戦でも毒ガスが使用されたと結論付けた。モーストの会の津谷静子会長(58)は「本当なら、悲劇がまた繰り返された。毒ガスも原爆も、人を長期間苦しめる。非人道的な兵器の廃絶をイランの平和博物館が訴える意義はひと際、大きい」と今後の連携を誓っている。

(2013年6月25日朝刊掲載)

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