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地方の目線 被爆75年記録 「ヒロシマ講座」参加の記者

 原爆の日に合わせて全国から地方紙の若手記者たちを広島市が招く「ヒロシマ講座」に、今年は6社の6人が参加した。新型コロナウイルス禍で取材の制約を受けながら、各分野の講師から学ぶとともに、被爆者や地元ゆかりの人たちを精力的に取材した。地方の目線で被爆75年のヒロシマを記録した、掲載記事の一部を紹介する。

 平和記念式典に出席した各県の遺族代表の思い、被爆体験を継承する若者たちの活動や、被爆建物などのテーマを取り上げた記事が目立った。

 神奈川新聞は、岡田恵美子さん(83)たち被爆者の思いを「語るのを諦めない」との言葉で伝えるとともに、市のレストハウスに注目し、被爆建物の保存のあり方を問う記事を掲載。静岡新聞は、同県富士宮市から本川小平和資料館(中区)を訪れた修学旅行生の声をきっかけに、本川国民学校の児童で唯一原爆を生き延びた故居森清子さんの展示が今年加わったことなどを紹介した。

 新潟県出身で、原爆資料館のピースボランティアを志して広島市に移住した渡辺裕子さんを取材したのは新潟日報の記者。新型コロナの影響で活動がままならないことへの戸惑いと、変わらぬ意欲を聞き取った。

 中日新聞は、現在の岐阜薬科大の学生だった時に本通り(現中区)の実家が壊滅し、両親を失いながら兄とともに家業の薬局を再建した赤松偕三さんの歩みをつづる。

 一家4人の被爆死を伝える証明書が原爆資料館に展示されている。寄贈者は、神戸市出身の宮崎善行さん(83)=京都市。神戸新聞は、兵庫県内に疎開して生き残り、原爆孤児となった宮崎さんの苦難を、同館への取材を交え記事にした。

 西日本新聞は長崎総局の記者が取材。広島で被爆建物をガイドしたり、核兵器禁止条約への賛否を国会議員に問う活動に力を注いでいる九州出身の若者たちに焦点を当てた。

 市は核兵器廃絶への世論を広げようと、2002年度から毎年ヒロシマ講座を開いており今年で19回目。(金崎由美)

(2020年10月13日朝刊掲載)

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