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新たな会員交え総会 きのこ会 広島市東区で近況報告

 原爆小頭症の患者や家族たちでつくる「きのこ会」は18日、広島市東区で総会を開いた。24年ぶりの新会員となった横浜市の中井新一さん(74)が初めて出席。新型コロナウイルスの影響で参加した患者の会員は3人と少なかったが、家族や支援者を含めた約40人で親交を深めた。

 中井さんは母親が広島市内で原爆に遭い、胎内で被爆した。知的障害があり、妹の葉子さん(69)と2人で暮らす。神奈川県を通じてきのこ会からの手紙を受け取ったのを機に、昨年4月に入会した。会に患者が新しく加わるのは、1995年以来だった。

 今年いずれも74歳となった患者の会員3人は、アップルパイに立てたろうそくを吹き消して祝ったり、詩を書いているなどの近況を報告したりして交流した。この日を待ち望んだ中井さんは「よかった。うれしい」と笑顔。患者の川下ヒロエさん(74)=東区=は「皆に会えた上、新しい仲間ができた」と喜んだ。

 会は65年に結成した。会によると、国が認定する原爆小頭症の被爆者は3月末時点で17人。うち16人が会員で、親は全員亡くなっている。長岡義夫会長(71)=安佐南区=は「少しでも穏やかに暮らすサポートを続けたい」と話した。

 総会では、会の活動を支え、今年7月に89歳で亡くなった元原爆傷害調査委員会(ABCC)職員の山内幹子さんを悼み、全員で黙とうもした。(井上龍太郎)

(2020年10月19日朝刊掲載)

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