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国重文本尊 本格修復へ 280年ぶり 広島の不動院から搬出

 国宝で被爆建物の不動院金堂(広島市東区)にある国重要文化財の木造薬師如来坐像(ざぞう)が、280年ぶりに本格的な修復に入る。26日、奈良市内の工房での修復に向けて搬出作業があった。

 本尊の坐像は平安時代の彫刻様式を伝え、高さ1・4メートル。奈良国立博物館にある公益財団法人美術院の工房で修復するため、美術院の職員5人が坐像や台座を保護用の綿布団などで包む作業をした。

 約1年かけて、2001年の芸予地震の影響とみられる傾きを直し、漆の剝落止めなどをする。不動院の古文書には、江戸期の1733年に関西で坐像を修復した記録が残る。1934年に指などを部分修理していた。

 不動院では現在、金堂なども修理中。麻生弘融副住職(25)は「本尊が不在になるのは寂しいが、文化財を守る取り組みを重ねていきたい」と話していた。(林淳一郎)

(2013年6月27日朝刊掲載)

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