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黒い雨 援護対象拡大を 広島県、新たに国に提案へ

 国の2021年度予算編成で、広島県は19日、原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」被害の国の援護対象区域を広げ、手当などの支給に必要となる財源を確保するよう新たに提案すると明らかにした。湯崎英彦知事たち県幹部が上京し、11月5日に県選出の国会議員や関係省庁に働き掛ける。

 県は提案で、国が8月に「拡大も視野に入れた再検討」をすると表明しながら、方法や日程が示されていないと指摘。被害者が老いる中、本年度中に区域拡大の方向性を示すよう求める。実現すれば必要となる、被爆者援護法に基づく健康管理手当支給などの財源を確保するよう訴える。

 要望は全43項目。ほかには、新型コロナウイルスの感染者情報を都道府県へ集約し、早く対策を講じるための法的根拠の明確化▽農業や教育でデジタル技術を活用するため、過疎地域での先行的な規制緩和や第5世代(5G)移動通信システムの基盤整備の促進を掲げた新たな過疎法の制定―などを盛り込んだ。

 県は新型コロナの感染防止で6月の提案をインターネット上で開いたが、今回は湯崎知事たちが出張する。県選出国会議員への提案は、従来通り東京都内のホテルを会場に、朝食会形式で開く。県経営企画チームは「オンラインは経費節減につながったが、画面では伝わらない点もあると判断した」と説明している。(岡田浩平)

(2020年10月20日朝刊掲載)

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