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被服支廠再調査を公開 広島県 耐震費削減 可能性探る

 広島県は20日、広島市南区に持つ市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で進める耐震性の再調査を報道各社に公開した。れんが壁や地盤の強さを測り、保存のネックとなっている補強工法と費用を導くための基礎データを得る。

 公開したのは3号棟。委託先の車田建築設計事務所(中区)の作業員たちがれんが壁の両脇を削り取り、はめ込んだ器具で水平に圧力をかけて、耐震性を診るのに重要なモルタルのつなぎ目の強度を調べた。1階の地面を1メートル掘り下げ、鉄板と工具で2・5トンの荷重をかける地盤調査もした。

 県は再調査を14日に始めた。現存する4棟のうち県所有の1~3号棟が対象で、今月中に現地作業を終える。得られたデータは14日に設けた有識者会議で評価してもらい、耐震化の有無を含む補強工法と費用の4パータンを年内に示す。

 県は2017年の前回調査で、震度6強の地震で倒壊か崩壊の恐れが高いとして、1棟当たりの耐震化費用を約28億円と算出した。当時はれんが壁をくりぬいたが、数値のばらつきが大きかったため、今回は手法を変えたという。(樋口浩二)

(2020年10月21日朝刊掲載)

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