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本川小日米交流 未来語る教材に 戦後復興助けた米国人に児童が書画贈る 福山大教授 平和や異文化理解説く

 福山大の小原友行教授(69)=社会科教育=が、平和学習で使う新たな教材作りに取り組んでいる。戦後間もない頃、ある米国人が爆心地近くの本川小(広島市中区)の復興を支え、児童がお礼の書画を贈って交流を深めた逸話を題材に、異文化理解の大切さを説く内容。児童に学んだことや考えをミニ新聞にまとめさせることが特徴だ。(奥田美奈子)

 米国人は、元連合国軍総司令部(GHQ)職員ハワード・ベル氏。同小の窮状に心を痛めて文房具などを贈り、母国の教会にも支援を呼び掛けたことで知られる。当時の児童がベル氏や教会へ送った返礼の書画が現存していることが1990年代以降、相次いで分かった。

 小原教授は今月上旬、同小の6年生を対象に授業を試行。「記者になったつもりで聞いて」と促し、書画が見つかるまでの経緯を紹介した。登場人物の思いや書画が大切に残されていた理由をテーマに、はがきサイズの新聞を作らせた。

 児童は「心のこもった文房具」「日米の平和のかけはし」といった見出しを付け、思い思いに記事を執筆した。「戦争相手だったのに助けたのはなぜか」と問い掛けたり「平和や子どもの未来を大切に思う気持ちは外国の人も変わらない」などとまとめたりした。

 小原教授は県NIE(教育に新聞を)推進協議会の会長を長年務めた。ミニ新聞作りを取り入れた狙いを「情報を受信するとともに、考えを発信することを意識付けるため」と説明する。その上で「多様な文化や意見を理解して関係を築く力はグローバル時代に求められる資質。戦争を巡る事実を学ぶだけでなく、未来を語る平和教育を提案したい」と強調している。今後、各校で使えるよう教材集にまとめる計画でいる。

(2020年10月24日朝刊掲載)

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