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被爆者 届かぬ声原発 反対の6議案否決 中電株主総会

 原発に反対する一部株主が提案した6議案を全て否決した中国電力の株主総会。島根原発の廃炉などを訴えた被爆者の声も届かなかった。経営陣は原発停止による経営環境の悪化を説き、料金値上げの可能性にも触れた。

 68年前に被爆し、家族5人を失った広島市東区の山口裕子さん(80)は株主として「核と人類は共存できない」と原子力事業からの撤退を求めた。「広島で被爆し、放射線被害をつぶさに知る」と迫ったが、採決では反対多数だった。「むなしい結果だが、声を上げ続けることが必要」と振り返った。

 2013年3月期に4年ぶりの赤字となる中、電力値上げや配当方針への質問も相次いだ。信末一之常務は「原子力が稼働しなければ収支は極めて厳しい」と説明。「コスト改善に取り組むが、努力が及ばない場合には料金改定を含めたあらゆる選択肢を検討する」と述べた。

 未定とする今期の配当見通しについては、苅田知英社長が「安定配当の方針に変わりはない」と説明。「見通しは今後の経営環境を踏まえて示す」と述べた。

 総会は昨年より35分短い2時間54分で終了。福島第1原発の事故後で最短だった。(山瀬隆弘)

(2013年6月27日朝刊掲載)

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