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被爆者体験 2世が伝える 津和野中で広島の沖西さん

 被爆2世でビオラ奏者の沖西慶子さん(55)=広島市安佐北区=が、津和野町の津和野中で、同市の被爆体験伝承者と長崎市の家族証言者として、それぞれの被爆者の体験を伝えた。3年生21人が聞き入った。

 沖西さんは、爆心地から1・3キロの広島逓信局(現広島市中区東白島町)で勤務中に被爆した細川浩史さん(92)=中区=の体験を語った。細川さんは柱が熱線を遮って助かったが、全身に窓ガラスが刺さり血まみれになった。河原で中学生が次々と死ぬのを目の当たりにし、「せめて水を飲ませてやればよかった」と今でも後悔しているという。

 細川さんの妹の瑤子さん=当時(13)=は爆心地から約700メートルの土橋町(現中区)付近で、建物疎開の作業中に被爆して亡くなった。細川さんは「愛する家族を失った苦しみは、時間が解決してくれなかった」と話しているという。

 沖西さんは、長崎の爆心地から約4キロの自宅で被爆した母素子さん(85)=広島市安佐北区=の体験も語った。爆心地から約1・4キロの工場で被爆した母親のいとこの遺体が見つからず、「焼け跡の灰を梅干しのつぼに入れて持ち帰った」と話した。

 沖西さんは2018年から同校を訪れており、今年は初めて広島の被爆体験を語った。生徒たちに「平和や命は何よりも大切ということを忘れないでください」と呼び掛けた。岩本香蓮さん(15)は「幸せな家族が一瞬で壊された原爆の怖さや被爆者の悲しみを知ることができた」と話していた。(根石大輔)

(2020年10月26日朝刊掲載)

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