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廃絶へ 世代超え喜び分かつ 核兵器禁止条約 来年1月発効 宮城の被爆者木村さんと基町高生

「原爆の絵」で訴え継続

 核兵器禁止条約の来年1月の発効が決まったと伝わった25日、世界に向けて核兵器廃絶を訴えてきた宮城県原爆被害者の会の木村緋紗子会長(83)=仙台市=が、訪問した広島市中区の基町高で生徒と喜びを分かち合った。「原爆の絵」の制作をする生徒に被爆体験を伝え、核兵器廃絶の訴えを一緒に世界に広げていこうと語り合った。(山本祐司)

 今回の絵の制作は、この夏の平和記念式典の際に「原爆の絵」を描く高校生に出会って感動した木村さんが、基町高に依頼して決まった。同校生徒が県外に住む被爆者の絵を描くのは初めて。この日は2年の川崎あすかさん(17)が木村さんの話に聞き入った。

 木村さんは、8歳だった袋町国民学校(現袋町小)2年の時、爆心地から1・6キロの大須賀町(現南区)で被爆した。大きなけがはなかったが、全身やけどを負った祖父の体からうじ虫を取った記憶が強烈に残っていることを伝えた。

 20代で被爆者運動に関わり、日本被団協の代表団として10年前に渡った米ニューヨークでは、タイムズスクエアで一瞬で人々の人生を狂わせる核兵器の恐ろしさを訴えた体験も語った。川崎さんは「『核兵器が違法だ』と言える活動を、私たちもつなげていきたい」と気持ちを引き締めた。

 木村さんは「いいニュースを広島で若い世代と聞けてうれしい」と目を潤ませ、条約の不参加を表明する日本政府に対して「核兵器をなくそうと一生懸命な高校生の姿を見習ってほしい」と力を込めた。

(2020年10月26日朝刊掲載)

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