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沖縄で戦死 遺族が慰霊 あす糸満の「島根の塔」で追悼式 千羽鶴折り平和願う

 太平洋戦争中に沖縄で戦死した県出身者を慰める沖縄県糸満市の「島根の塔」で6日、県遺族連合会が追悼式を開く。戦後75年の節目に丸山達也知事と中村芳信県議会議長が参列。1969年の塔建立から半世紀がたち、除幕式に関わった遺族たちも一緒にあらためて平和を願う。(松本大典)

 追悼式は、新型コロナウイルスの感染リスクを考えて例年より人数を制限。同連合会の4人と雲南市遺族会の3人をはじめ計約20人が参列する。沖縄や周辺海域で戦死した軍人・軍属909柱を祭る慰霊塔に献花し、遺族会や県の関係者で折った千羽鶴をささげる。

 参列者の一人で、雲南市遺族会副会長の勝部昇さん(80)=同市吉田町=は51年前、塔の除幕を担った。陸軍兵長だった父乙市さんは35歳で戦死。沖縄群島で亡くなったと知らされただけで、遺骨も戻ってこなかったという。

 終戦時に5歳だった昇さんは「はっきりした記憶は少ないが、沖縄の父からのはがきに『砂糖やバナナがあるのに送ってやれない』『ランドセルを買ってやる』といった内容があったのを覚えている」と話す。

 沖縄返還前の除幕式にはパスポートを取り、感染症予防の注射を打って渡航したという。慰霊塔の幕をとった瞬間、「久しく別れていた父に面会したような気持ちだった」と振り返る。沖縄を訪れるのは8年ぶり。親戚一同の写真を携えて追悼式に臨み、98歳で亡くなった母タツさんの七回忌の報告をしたいと穏やかに語る。

 遺族一行は、5日に広島空港から沖縄へ出発。6日には糸満市の平和祈念公園内の「平和の礎(いしじ)」や、沖縄戦最初の激戦地とされる宜野湾市嘉数高台公園内の「島根の兵(つわもの)奮戦之碑」も巡る。

(2020年11月5日朝刊掲載)

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