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広島-大邱 日韓 画面越しの友情 文化討論や学校生活報告

 新型コロナウイルス感染対策で海外への渡航が制限される中、広島市と姉妹都市の韓国・大邱(テグ)広域市の若者がオンラインで友好を温めている。例年続けてきた訪問事業は中止となったものの、音楽やドラマ、学生生活などをテーマに意見交換し、相互理解を深めている。(猪股修平)

 「アンニョンハセヨ!」。10月下旬、広島市立大(安佐南区)と慶北(キョンプク)国立大(大邱市)をビデオ会議システムを使って結ぶ異文化理解プログラムが開かれた。両大学の計40人が参加。食文化、ドラマ番組、音楽、交通手段の四つを討論のテーマに決め、来年1月まで月2、3回のペースで意見を交わす。

 毎年、慶北大の学生が広島市を訪れて原爆資料館(中区)などを見学、市立大生と交流しているが、新型コロナの影響で中止となり、市立大国際交流推進センターが企画した。慶北大3年金柔那(キム・ユナ)さん(21)は「学生同士の交流は、メディアでは見えない日本を知る貴重な機会」と、一昨年に続く2回目の参加に声を弾ませる。

 同月下旬の別の日には、原爆資料館で両市主催の青少年交流事業があった。中高生計20人がオンラインで参加。大邱市側はK―POPダンスを広島市の生徒に教えて一緒に踊り、広島側は動画を流して、お好み焼きの作り方や宮島(廿日市市)を紹介した。コロナ禍で変化した学校生活についても報告し合った。

 2002年に始まった交流事業では、中高生が隔年で相互に訪問。今年は大邱市側の広島訪問がなくなり、例年4泊5日の日程で深めている交流は、画面越しの約3時間で終了した。広島中等教育学校6年の吉岡晋作さん(18)は「訪問中止は残念だが、交流を続ければ将来の日韓関係に良い影響を残せる」と継続の意義を強調した。

 市教委育成課は「六つある姉妹都市の中でも、若者の相互訪問を続けてきたのは大邱市だけ。距離の近さだけでなく、長年築いた関係があったからこそ、互いの顔が見える交流を絶やしたくない思いがあった」としている。

(2020年11月5日朝刊掲載)

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