×

ニュース

「黒い雨」控訴に憤り 広島で判決報告会 原告、解説や体験談

 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」による健康被害を巡る訴訟で、広島地裁が7月に原告84人全員に被爆者健康手帳の交付を認めた判決を受け、原告たちが7日、原爆資料館(広島市中区)で報告会を開いた。85人が訪れ、判決の解説や原告の体験談を聞いた。

 広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の牧野一見事務局長(76)が判決について説明。国の援護対象区域外で黒い雨を浴びても健康被害があり得ると認め、放射性物質を体内に取り込む内部被曝(ひばく)を考慮するよう求めた判決を、あらためて「画期的」と評価した。県と市、国が控訴したことに「被爆者に寄り添い、今からでも取り下げてほしい」と訴えた。

 原告の本毛稔さん(80)=佐伯区湯来町=は、5歳の時に自宅近くで黒い雨に遭った経験を語った。近くの川を挟んだ対岸は援護対象区域だが、自宅周辺は対象外。「こんな線引きは納得できない。控訴を知りショックだった」と憤った。

 控訴審の第1回口頭弁論は今月18日に広島高裁で予定され、被告側は「原告が被爆者である科学的知見はない」などと争う方針。国は並行して、援護対象区域の拡大を視野に検証を進めるとしている。(明知隼二)

(2020年11月8日朝刊掲載)

年別アーカイブ