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検討会 16日初会合 「黒い雨」被害再検証 厚労省 被爆者ら委員11人

 米国による広島市への原爆投下後に降った「黒い雨」の被害を巡り、厚生労働省が援護対象区域について拡大を視野に再検証する検討会の初会合を16日に開く方向で調整していることが分かった。放射線や気象の専門家、被爆者たち11人が委員を務める見通しだ。

 関係者によると、名称は「第1種健康診断特例区域等の検証に関する検討会」で、16日に厚労省内で初会合を開く予定だという。

 厚労省は日本被団協や広島県・市などに委員の推薦を要請。関係者によると、被団協は長崎で被爆した木戸季市事務局長と気象庁気象研究所の増田善信元研究室長を推薦した。増田氏は国指定の基になった従来調査の約4倍の範囲で降ったとの調査結果を1988年に発表した。

 広島県は被爆者の発がん症例を研究するなど原爆放射線の影響に詳しい広島大の鎌田七男名誉教授、広島市は小池信之副市長をそれぞれ推薦した。

 厚労省は降雨地域と健康被害の関係を探るシミュレーションにスーパーコンピューターなどを活用する方針。検討会では具体的な手法や結果の分析を話し合うとみられる。

 「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認めた7月の広島地裁判決を受け、厚労省は控訴する一方「区域拡大も視野に入れた再検討をする」と表明していた。(河野揚)

(2020年11月10日朝刊掲載)

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