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被爆者の中本さん、広島駅前緑化の現場視察 30年前に2300万円寄付

 「古里の駅前を平和都市にふさわしい玄関口に」と30年前に広島市に提案し、計2300万円を寄付した被爆者の中本博子さん(83)=東京都=が28日、JR広島駅前の南区松原町の猿猴川沿いで進む緑地広場の工事現場を訪れた。ようやく完成する広場に、中本さんは平和をテーマにしたモニュメント建設を構想する。

 市は中本さんの意向をくみ、福屋広島駅前店南側の河岸1600平方メートルに緑地広場の整備を計画。ことし3月から東側の約800平方メートルで工事を進める。通路となる部分をタイル舗装し、植栽エリアとモニュメント予定地を設けた。完成は8月の予定だ。

 中本さんは松原町出身。女学校3年の時、爆心地から1・2キロの大手町(現中区)で被爆した。その後、渡米して美術を学び、インテリアデザイナーとして成功。1983年、駅前緑化に役立ててと市に寄付したが、再開発事業の遅れなどで宙に浮いた形になった。2001年に市が謝罪。両者で協議を重ねてきた。

 中本さんは国内外で寄付を募り、モニュメントを制作して寄贈する考えだ。「子どもたちが平和の願いを学べるモニュメントにしたい」と構想を膨らませていた。(石井雄一)

(2013年6月29日朝刊掲載)

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