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被爆者の声 多彩に表現 谷本清平和賞 ビナードさん表彰

 公益財団法人ヒロシマ・ピース・センター(広島市佐伯区)は8日、詩人で原爆被害をテーマにした絵本などを手掛けるアーサー・ビナードさん(53)=中区=に第32回谷本清平和賞を贈った。広島工業大広島校舎(同区)で表彰式があり、同センターの鶴衛理事長が表彰状を手渡した。

 同賞は被爆者支援に尽くした広島流川教会(同区)の故谷本清牧師の意志を継ぎ、世界平和の実現に活動する個人や団体に贈る。ビナードさんは「強い探究心と鋭い感性で被爆者たちの声をくみ上げ、多彩な文芸作品を創出。ピカドンを後世に伝えるアメリカ人語り部」と評された。ビナードさんは表彰式で「谷本牧師の活動の土台があり、僕らがある。受賞は、牧師からしっかり頑張れと言われた気がする」と話した。

 ビナードさんは1990年に来日。2006年、米国のビキニ水爆実験で被曝(ひばく)したマグロ漁船第五福竜丸を扱った最初の絵本「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」で日本絵本賞を受賞した。11年に広島市に移住した。

 平和賞の受賞者には、女優の吉永小百合さんや漫画「はだしのゲン」の作者、故中沢啓治さんたちがいる。(久保田剛)

(2020年11月10日朝刊掲載)

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