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仁和寺に平和祈る彫刻 京都で作品展 東広島のヒガシダさん

 京都市右京区の世界遺産・仁和寺で東広島市の彫刻家ゼロ・ヒガシダさんの作品展が開かれている。「仁和から令和へ平和の祈り」を副題に「命」がテーマの24点を出品。「広島で生まれ育った制作者としては世界平和への願いは大前提。コロナ禍の中、命のありがたさも訴えたい」と心情を語る。来年3月31日まで。

 ブロンズや木、ステンレスなどを組み合わせた高さ10センチから2・4メートルまでの作品を、境内各所と御殿という建物内に点在させる形で展示している。2013年の新制作展で最高賞の協会賞に輝いた「INORI Ⅱ」など海外でも評価の高い作品をそろえた。五重塔などの前に配した現代美術が、平安王朝の雰囲気漂う空間に不思議と調和する。

 仁和寺に、宮島(廿日市市)の真言宗大聖院にある代表作「折り鶴の碑」の姉妹作品を奉納した。旧知の仁和寺執行長を務める吉田正裕・大聖院座主に「ぜひとお願いして実現した。折り鶴は押しつけがましくならずに表現できる平和のシンボル。平常は外国人も多く訪れるここにどうしても置きたかった」。二王門脇の御殿の庭に鎮座する。

 幟町中(広島市中区)の同級生で廿日市市から駆け付けた会社員稲井康之さん(62)は「本来は見えない物を納得できる形で表現するのが彼のすごさ。『精霊』という作品からは生命力を感じた」と感嘆する。ヒガシダさんは広島市南区出身の被爆2世。「恒久平和を訴える作品の制作に最後はいきつく。ライフワークですね」。祈りを込めた創作を続ける。(森下敬)

(2020年11月13日朝刊掲載)

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