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被爆ピアノと沖縄戦と 西区で高校生 二つの地の戦争考える

 太平洋戦争中に広島で被爆したピアノの音色を聞きながら、壮絶な地上戦だった沖縄戦について学ぶ集いが16日、広島市西区の広島修道大ひろしま協創中・高であった。生徒に二つの地の戦争の歴史を考えてもらう授業の一環で、高校1年生約200人が耳を傾けた。

 広島市出身で沖縄県読谷村に住む松田忠さん(50)の市民グループ「ひろしま被爆ピアノの会沖縄事務局」が学校に呼び掛け、昨年に続きメンバーが訪問。広島市安佐南区の調律師矢川光則さん(68)が、爆心地から1・8キロの民家で被爆したピアノを用意した。

 同村職員で、祖父が沖縄戦の犠牲になった山内哲也さん(29)が、資料や写真を映し、米軍が同村の海岸から上陸した経緯などを解説。住民が集団自決した自然壕(ごう)「チビチリガマ」も紹介し「平和に大切なのは他者への理解。差別や偏見をなくそう」と語った。

 次いで山内さんは、自ら「さとうきび畑」など沖縄ゆかりの3曲を奏でた。生徒たちも4人が校歌などを披露した。小川未来さん(16)は「歴史を重ねたピアノの音の響きに感動した。沖縄戦を周りに伝えたい」と聞き入った。授業に同席した松田さんは「自分もかつては沖縄戦をよく知らなかった。広島の若い人たちが戦争全体に関心を持つ機会になってほしい」と話していた。(山本祐司)

(2020年11月17日朝刊掲載)

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