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「区域拡大へ検証を」 「黒い雨」 広島市長、国に要請

 米軍による原爆投下後に降った「黒い雨」の被害を巡り、国の援護対象区域を再検証する厚生労働省の検討会の初会合が開催されたのを受け、広島市の松井一実市長は19日、被害者救済の立場に立って区域拡大に向けて検証するようあらためて求めた。

 この日の記者会見で松井市長は、気象シミュレーションによる調査などについて議論した16日の初会合を踏まえ「どこまで正確に当時の気象状況を再現できるのか、検討が難しい点もある。降雨地域の拡大を視野に入れるとの当初目標を忘れず、しっかり見据えた上で検証してほしい」と述べた。被害者の高齢化を受け、できる限り早く結論を出すよう求めた。

 初会合では、降雨地域や放射性物質の分布などを検証する気象シミュレーションや土壌調査、米国に残る文献調査など五つのテーマごとにワーキンググループを設置すると決めた。広島市からは小池信之副市長が出席した。

 これまで「科学的知見を超え、被爆者援護の視点で政治判断を求めたい」としてきた松井市長は、「今後、ワーキンググループの議論の中で市の考え方を伝えていく」と強調した。(久保田剛)

(2020年11月20日朝刊掲載)

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