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千羽鶴の願い 次代に届ける 「笑顔守る」歌い継ごう 広島の児童共演 ジャズ曲CD化

 平和をテーマにしたジャズ曲「Athousandcranes~千羽鶴」が、広島県府中町の府中小児童の協力でCDになり、8月に発売される。これを機に、作曲したピアニスト守屋純子さん(48)=東京都=と、作詞した歌手上西(かみにし)千波さん=同=が8~9月に府中町など全国でコンサートを開催。「未来を担う子どもたちに歌い継いでもらいたい」との思いを募らせている。(田中伸武)

 「時代を越え、変わっても 子供は変わらず…」。CD録音と事前練習は6月下旬に府中町の府中小体育館などであり、守屋さんのピアノ伴奏に乗せ、上西さんと同小6年生134人が歌声を響かせた。柔らかでしっとりしたメロディーに、ジャズ特有の難しい半音や不協和音が混じる。小田愛子さん(11)は「何度も練習した。上西さんに詞の意味を教わり、未来に向かう気持ちで歌った」と話す。

 同小は昨年、県のリレーコンサートで上西さんと共演した。その縁で今回も協力。収録や練習は、総合の時間の平和学習の一環として行った。

 曲は、守屋さんが、2007年に70歳で亡くなった叔母の敦子さんをしのんで作った。敦子さんは広島と縁はなかったが、「原爆の子の像」(広島市中区)のモデルになった佐々木禎子さんの話を広めるため、中学教師を辞めて、よも出版を起こした行動派。「戦争になれば、子どもが犠牲になる」と訴えていたという。

 歌詞は、上西さんが、祖父の叔父でカナダ移民の上西寛之助さん(1933年に51歳で死去)が撮影した被爆前の広島の風景からイメージした。2011年、寛之助さんの長男コウイチさん(91)と再会して戦争の話を聴き、詞が浮かんだ。「子どもの笑顔は、平和だからこそ守られる」と痛感したという。

 その年、曲と詞がつながって、佐々木禎子さんや戦前の広島の子どもたちをテーマにした一つの歌になり、昨年は広島県内の7カ所で演奏された。

 今夏は、「千人の千羽鶴プロジェクト」と銘打った上西さんの自主企画として、8月10日の府中町から9月10日の東京まで、全国10カ所程度巡回する。

 歌の上西さん、ピアノの守屋さんに、サクソホンのカナダ人アンディ・ウルフさん(45)=川崎市=が加わり、この曲などを披露。寛之助さんが撮影した映像も流す。府中町では、府中小6年生が出演し、将来の夢も語る予定。

 広島で生まれ育ったが、平和についてあまり意識したことがなかったという上西さんは「さまざまな縁が重なって、この曲ができ、社会との関わりを考えさせられた。千羽鶴プロジェクトをライフワークにしたい」と話している。

 8月10日のコンサートは、午後3時から府中町のくすのきプラザで開催。一般2200円(前売り2千円)、中高大生千円、小学生以下無料。収益の一部は東北の東日本大震災の被災児に送る。CDは8月7日発売、1575円。プロジェクト事務局Tel082(874)6361。

「A thousand cranes~千羽鶴」の歌詞

1.はてしなく遠く
  透き通った空
  鳥たちは羽根を広げ
  虹を越えてく

  降り続けた雨
  悲しみの雨
  だけど小さな木の芽は、
  そっと、息づく

  時代を越え、変わっても
  子供は変わらず 笑い 遊び はしゃぎ
  両手を広げて、永遠の幸せを願う

2.はてしなく高く
  輝く夜空
  星屑はきらめき流れ
  波に消えてく

  泣き続けた夜
  悲しみの夜
  だけど大きな広い海は、
  まぶしい朝

  時代を越え、変わっても
  子供は変わらず 夢を見て 育ち

  両手を広げて、未来へ羽ばたいてゆくよ

  はてしなく遠く
  透き通った空
  鳥たちは羽根を広げ
  虹を、越えて

 (2013年7月1日朝刊掲載)

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