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被爆電車 33年ぶり雄姿 初の「ひろでんの日」 旧型車両を公開 江波-千田車庫を往復

 広島電鉄(広島市中区)は23日、旧型電車を紹介する初めての催し「ひろでんの日2020」を中区の千田車庫で開き、同社最古の被爆電車「156号」を33年ぶりに公開した。被爆75年に合わせ、車庫で眠っていた車両を走行できるように整備した。鉄道ファンたちが同車両を含む古い電車の撮影や乗車を楽しんだ。(村上和生)

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、抽選100人の事前申込制で開催した。江波(中区)で被爆した156号は1925年製造で新型車両が増えた71年に引退、87年に一時走行した後は江波車庫に保管されていた。この日は、江波から千田車庫まで往復させ、沿道の注目を集めた。

 会場では、このほか創業当初の車両を復元した大正型電車やドイツ製のハノーバー電車などレトロな10両を並べ、来場者が熱心に撮影していた。また、参加者は大正型車両など一部車両による、江波や広島駅(南区)までの貸し切り運行を楽しんだ。

 父親と訪れた中区の幟町小4年井尻真太郎君(9)は「156号は床が木でできていて、今の電車と違うかっこよさがある」と夢中でシャッターを押していた。

 今年は広電などが毎年6月に開いてきた「路面電車まつり」がコロナ禍で中止になった。椋田昌夫社長は「被爆の3日後に運転を再開した電車の歴史を知ってもらいたい。コロナで閉塞(へいそく)感がある中、明るい話題を提供したかった」と力を込めた。

(2020年11月24日朝刊掲載)

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