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教皇の思い 受け継ぐ 広島訪問1年で催し 非核へ誓い新た

 ローマ教皇フランシスコが平和記念公園(広島市中区)を訪れてから24日で1年。市内では核兵器の非人道性を世界に訴えた教皇のメッセージを受け継ぎ、発信する催しがあった。被爆者や市民、教皇を迎えた教会関係者たちが参加し、核兵器廃絶への誓いを新たにした。

 「原子力の戦争目的の使用は倫理に反します」。訪問当日の集会で、生徒約120人が会場案内のボランティアに参加したノートルダム清心中・高(西区)では、校内にある講堂前に、教皇が読み上げたメッセージ全文が張られた。

 市が所有している、教皇が火をともしたろうそくの燭台(しょくだい)や関係者に贈ったメダルも展示。平和活動の同好会「ピーステップ」に所属し、ボランティアも務めた高校2年、前田桃佳さん(16)は「世界中の人たちが教皇の言葉を熱心に聞いたあの日を思い出した。その言葉を忘れず、私たちにできる平和活動を続ける」と力を込めた。

 平和記念公園では、カトリック信者やNPO法人が記念行事を開いた。約40人が集い、原爆慰霊碑前で黙とう。原爆ドーム前の親水テラスでは「平和の灯(ともしび)」から分けた種火をろうそくにともし「全ての国の平和を願い、全ての国の平和を祈る」と斉唱した。

 カトリック広島教区の白浜満司教(58)が教皇のメッセージを抜粋して読み「各国の指導者が対話と尊厳を持って平和を築きますように」と祈りをささげた。

 ローマ教皇は昨年11月24日、広島、長崎を訪問。教皇の両被爆地訪問は38年ぶりだった。広島で発した約14分間のメッセージでは、核兵器の使用や保有を明確に否定し、人類史上初めて原爆が投下された広島が持つ惨禍の記憶を広げるよう訴えた。

 白浜司教は「メッセージを受け継ぎ、次世代にも輪を広げて来年以降も行事を続けたい」と話した。(猪股修平)

(2020年11月25日朝刊掲載)

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