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ヒロシマの惨状 絵筆に込め 被爆証言基に完成 基町高生徒

 基町高(広島市中区)創造表現コースの2、3年生5人が、被爆者の体験を基に描いた「原爆の絵」を完成させた。1日、同校であった完成披露式に、体験を証言した被爆者3人を招いた。

 証言を依頼されたのは、中区の新宅勝文さん(87)、南区の児玉光雄さん(80)、西区の笠岡貞江さん(80)。生徒5人は昨年12月から6月まで計4回、同校で体験を聞き取りし、心が震えた場面を縦65センチ、横53センチのキャンバスに油絵で仕上げた。

 2年竹重美里さん(16)はトラックに積み込まれる無数の遺体を描いた。新宅さんが語った、原爆投下翌日の爆心地近くの光景だ。「多くの命が奪われた現実。新宅さんの気持ちを考えると何度も筆が止まった」。作品を見た新宅さんは「核の恐ろしさを十分に表現している」と評す。

 5人の作品は、今月6日にある同校文化祭で公開する。その後は原爆資料館(中区)に保管し、新宅さんたちが体験を証言する際に活用する。

 原爆の絵は原爆資料館が2004年度、若い世代への被爆体験継承を目的に始めた。07年度から基町高の生徒が担う。これまで被爆者32人が証言に協力し、68点が描かれた。(新山京子)

(2013年7月2日朝刊掲載)

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