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援護法適用 説明文を修正 在外被爆者巡り原爆資料館

 広島市は、原爆資料館(中区)の展示物のうち、海外に住む被爆者(在外被爆者)についての説明文の一部を修正し、在外被爆者への手当支給が始まる契機となった2002年の大阪高裁判決について加筆した。在外被爆者に被爆者援護法が適用される経緯の説明が「不十分」と市民から指摘を受けていた。

 東館にある「海外で暮らす被爆者」と題したパネル。修正は、在韓被爆者の郭貴勲(カク・キフン)さんが日本政府を相手に援護法に基づく健康管理手当の支給を勝ち取った02年の大阪高裁判決に触れ、「03年から、被爆者援護法に基づく諸手当の支給が開始」などと記した。

 従来のパネルは、長い間援護の枠外に置かれた在外被爆者に援護法が適用されていった経緯を「援護制度が順次見直され」などと訴訟に触れずに記載していた。広島県原水禁の金子哲夫代表委員が「誤った政策があったことを正しく伝える点からも必要」として、市に修正を求めていた。

 資料館は11月27日夜、記載内容が修正されたパネルを取り付けた。市原爆被害対策部は「文字数が限られる中、当初の記載も間違ってはいないが、要望を踏まえ、より分かりやすい表現に整えた」としている。(水川恭輔)

(2020年12月2日朝刊掲載)

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