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被爆継承 誓う68人 「伝承者」2期研修始まる

 高齢化する被爆者の体験を語り継ぐため広島市が募集した「被爆体験伝承者」の第2期研修が2日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。20~78歳の男女68人が参加。祖母の体験を未来に残したいという被爆3世や、自身の記憶が曖昧で被爆体験を学びたい被爆者の姿もあった。一方で第1期から参加者が半減するなど、証言活動を継承する人材育成の難しさが浮かび上がる。

 初日は約3時間の座学。市未来都市創造財団の高野和彦文化科学部長と広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長が講師を務め、被爆直後の惨状や原爆投下に至る経緯を解説した。

 2期生の平均年齢は52・8歳。137人で昨年度スタートした1期生に比べ4・3歳若い。研修は3年課程。本年度は被爆者の体験を聞くのが中心だ。2014年度は被爆者と「師弟関係」を結び、体験と思いを刻み込む。15年度は話し方や筋立てを実習で確認。修了後に修学旅行生たちへの証言活動を始める。

 安佐南区の広島修道大3年榎田佳恵さん(20)は祖母が被爆者。「中学、高校の頃から被爆体験を未来に残すため、行動をしたかった」と話した。

 2期生には3人の被爆者がいる。西区の川崎宏明さん(75)は当時7歳。「記憶が曖昧。鮮明に覚えている人の体験を学ぶしか悲しみを語り継ぐ方法はない」と思い立った。

 被爆者の平均年齢は78歳を超えた。市は被爆体験の継承に危機感を抱き、伝承者事業を始めた。1期生の約2割に当たる29人が「日程が過密」「被爆者の体験を受け止めきれない」などの理由で研修を離れた。

 市は今後、研修生のサポートに乗りだす考えだ。石田芳文被爆体験継承担当課長は「研修の平日開催が問題なら、変更を検討する。若い世代が参加しやすくなるよう企業や大学にも協力を求めたい」としている。(門脇正樹)

(2013年7月3日朝刊掲載)

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