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被爆と復興の社史を写真で 広島トヨタが図録

 広島トヨタ自動車(広島市中区)は被爆75年に合わせ、原爆による壊滅と戦後復興を経た社史を紹介する写真図録「ヒロセキタマチ物語」を発行した。1946年ごろから50年代にかけて撮影されたカットが中心だ。

 58年に市内で開かれた広島復興大博覧会の宣伝カー。地場企業に納めたトラックや特装車の横で、生き生きとした表情を見せる整備士たち。雑草に覆われた舗装前の平和大通りやバラックが並ぶ平和記念公園など、街並みを捉えた写真を地図の周りに配した「想い出マップ」も掲載している。

 計80枚ほどのうち約50枚が、車体の板金加工などに長く携わった故中川輝義さんの遺品。今夏、長男太芽雄(ためお)さん(87)=廿日市市=からアルバムの寄贈を受けた際、藤井一裕社長(56)が「逆境に立ち向かった人びとの底力を感じる。会社と従業員たちが地域に寄り添ってきたことを伝えたい」と思い立った。

 同社は、藤井社長の祖父巌さん(89年に90歳で死去)が36年に千田町(現中区)で創業した。戦時中の統制で配給会社だったさなかに、原爆で社屋が倒壊。巌さんははりの下敷きになったが助け出され、46年に中区広瀬北町の現在地へ移転して再出発した。

 AB判21ページ。3千部発行し、県内20店舗で配布するほか希望者には郵送する。総務部菅川さん☎082(291)1024。(桑島美帆)

(2020年12月13日朝刊掲載)

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