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米研究所に助成申請 放影研 地元連絡協で反対意見も

■記者 森田裕美

 広島市南区の放射線影響研究所(放影研)は28日、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)に研究助成を申請したと臨時の地元連絡協議会で説明した。NIAIDはテロリストによる放射性物質を含む攻撃に対し、医学的な対抗措置を開発するのが任務の一つ。委員の一部から「ヒロシマの心を踏みにじる」などの反対意見が出ている。

 非公開の会合には被爆者代表や行政、医療関係者たち委員12人が出席した。放影研によると、NIAIDの要請に応える形で「インフルエンザワクチンに対する免疫応答への加齢と放射線被(ひ)曝(ばく)の影響」など4件について、2月に助成を申請した。

 助成が決まれば8月ごろから契約交渉に入り具体的な内容を詰めるという。放影研は助成申請について各委員に個別報告をしたが、広く意見を聞くべきだとの求めがあり急きょ協議会を開いた。

 終了後、委員の一人である浅井基文広島市立大広島平和研究所長は「核テロ対策への利用は、人類は核と共存できないというヒロシマの心を踏みにじる」と主張。同じく委員の県被団協の坪井直理事長は「モルモット的に利用される印象は否めない。二度と悲劇を繰り返さないために協力している被爆者の思いを第一に考えて議論してほしい」と話す。

 放影研の大久保利晃理事長は「平和目的のみの利用にNIAIDが同意しない限り研究に着手しない。契約交渉の段階で被爆者や市民の意見を聞く場を設けたい」としている。

(2009年4月29日朝刊掲載)

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