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加納実紀代さんの思い継ぐ 昨年亡くなった女性史研究家 有志ら 東区に資料室整備へ

 昨年2月、78歳で亡くなった被爆者で女性史研究家加納実紀代さんの蔵書などを集めた資料室を広島市東区光が丘に整備する計画が進んでいる。市民の交流の場にしようと、生前交流のあった有志たちが企画。来秋の一部オープンに先立ち、来年1月から、加納さんの研究にちなんだ連続講座も始める。(小林可奈)

 加納さんは5歳の時に広島で被爆。戦争と女性の関わりを多角的に掘り下げた「銃後史ノート」を刊行するなど、天皇制や戦争、平和について問い続けた。資料室では、加納さんが残した数千点に及ぶ書籍や新聞などを所蔵し、公開する予定。県内の在日韓国・朝鮮人たちの歴史をたどる資料なども多数収める。

 資料室は、外国人留学生に宿舎を提供し、国際交流の拠点でもあった民間施設「広島アジア文化会館」(2001年閉館)として使われた4階建ての施設内に設ける。今年10月、県内外の編集者や大学教員、会社員たち18人で準備会を発足。来秋のカフェスペース開設、22年ごろの全面オープンを目指し、施設の改装や企画を進めている。

 世話人の一人、ひろしま女性学研究所(中区)主宰の高雄きくえさん(71)は「公的資料には残されにくい歴史を伝え、幅広い世代をつなぐ『交差点』のような場にしたい」と意気込む。

 準備会が主催する連続講座は全8回で、ジェンダーや植民地主義などがテーマ。いずれもエソール広島(中区)であり、オンライン参加もできる。初回は1月24日。参加費は1回当たり一般千円、学生500円。全回受講できる通し券は一般5千円、学生3千円。前日までに申し込みが必要。申し込み、問い合わせはhttp://bit.do/hgz

(2020年12月22日朝刊掲載)

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