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出兵に寄せた日の丸 寄贈 米在住女性 広島大に 卒業生の名 展示を検討

 広島高等工業学校(現広島大工学部)の卒業生が第2次世界大戦の戦地に赴く際に贈られたとみられる日の丸が、広島大総合博物館(東広島市)に寄贈された。卒業生は戦死しており、今年2月、米国に住む所有者から大学へ相談があった。同館が25日、発表した。

 日の丸(縦70センチ、横85センチ)は絹地に「必勝 廣瀨壽一君」と墨書きされ、同校の校名と28人の寄せ書きが入っている。同館が調べたところ、28人のほぼ全員が1938~39年ごろ同校に在籍した教職員だった。

 寄贈者は米国在住の節子ブランダーホストさん。沖縄県に87~2003年ごろに住んでいた友人が那覇市のリサイクル店で購入したものを譲り受けたという。「遺族に返したい」と大学側に連絡し、今月6日に実物を届けた。

 廣瀬さんは福岡県三潴(みずま)郡(現大川市)にあった廣瀬酒造の長男で、36年に同校の醸造学科選科を修了。42年5月、27歳の時にビルマ(現ミャンマー)で亡くなっていた。旗が贈られた状況や、沖縄にたどり着いた経緯は分かっていない。遺族の廣瀬哲夫さん(56)=福岡市西区=は「大学で活用してほしい」と望んでいるという。

 同館の清水則雄准教授は「戦争を知らない若者が先人の思いに寄り添い、平和について考えるような展示を検討したい」と話している。(長久豪佑)

(2020年12月26日朝刊掲載)

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