×

ニュース

北朝鮮 核処理を再開 「抑止力強化」米に圧力

 北朝鮮の外務省報道官は4月25日、寧辺の実験用黒鉛減速炉から取り出した使用済み核燃料棒の再処理に着手したと表明した。朝鮮中央通信を通じ明らかにした。

 外務省報道官は「再処理は、敵対勢力の軍事的脅威に対処して、自衛的核抑止力を強化するのに寄与するだろう」と述べ、再処理後のプルトニウム抽出を含め核兵器開発を進める姿勢を明確にした。

 北朝鮮は「衛星」打ち上げを長距離弾道ミサイル発射とみなし非難した国連安全保障理事会の議長声明に反発し、六カ国協議からの離脱や核開発再開を表明していた。

 実際に再開させることで静観を続ける米オバマ政権に圧力をかけ、北朝鮮との協議に引き出す狙いがあるとみられる。また、安保理が4月24日、北朝鮮の企業3社を資産凍結の対象団体に指定したことに対抗する狙いもあるとみられる。

 今回の着手表明は、4月25日の朝鮮人民軍創建77年の記念日とも重なり、北朝鮮の強硬姿勢を印象づけることにもなった。

 北朝鮮の核開発状況に精通する米ロスアラモス国立研究所のヘッカー元所長は北朝鮮が再処理着手を表明する直前、共同通信の電話インタビューに応じ、「今後、北朝鮮は半年以内に核兵器1個半に相当する約8キロの新たなプルトニウムを手にすることが予想される」と指摘した。

(共同通信2009年4月25日配信、4月26日朝刊掲載)


北朝鮮「核再実験も」 安保理に反発 謝罪要求

 北朝鮮外務省は4月29日、国連安全保障理事会が同国の「衛星」打ち上げを非難する議長声明を採択し、関係貿易会社などへの追加的制裁を決めたことは「不法な挑発行為」だとし、謝罪しなければ「核再実験や大陸間弾道ミサイルの発射実験を含めた自衛的措置を講じる」と警告した。朝鮮中央通信を通じて報道官声明を発表した。

 北朝鮮は議長声明の採択後、「自衛的核抑止力の強化」を繰り返し表明してきたが、明確に核再実験に言及したのは初めて。

 北朝鮮は4月25日、寧辺の核施設で使用済み核燃料棒の再処理を始めたと発表したが、今回は核再実験や長距離弾道ミサイルの発射実験にまで踏み込んで緊張をエスカレートさせ、核とミサイルで米国への圧力を一段と強める構えを鮮明にした。

 声明は、核再実験とともに軽水炉建設に向けた核燃料の生産も「直ちに開始する」と表明。2006年10月の核実験に対する制裁決議を含め、北朝鮮に対するこれまでの国連安保理決議や決定の撤回も求めた。

 声明は「国連安保理が米国の策動に追従し、主権国家の自主権を侵害するだけでは足りず、わが国の最高の利益である国家と民族の安全を直接侵害する道に立った」として追加制裁を非難。その上で「敵対勢力により、六カ国協議とともに朝鮮半島非核化の念願は永遠に消え去り、戦争直前の情勢となっている」と強調した。

(共同通信2009年4月29日配信、4月30日朝刊掲載)


再度の核実験言及 北朝鮮声明を秋葉市長非難

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市の秋葉忠利市長は4月30日、再度の核実験に言及した北朝鮮の声明を非難し、北朝鮮に方針撤回と国際社会との対話を求めるコメントを発表した。

 秋葉市長は、北朝鮮が4月29日に発表した声明について「被爆地ヒロシマの願いを踏みにじるものであり、断じて許されない」と指摘。核実験を進めることは、世界の平和と安全を脅かすとの強い懸念を表明した。

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会が5月4日から米ニューヨークで始まることを念頭に、北朝鮮の姿勢を「国際社会が核兵器廃絶に向けて懸命に取り組もうとする中、NPT体制崩壊の危機を増大させる」と批判している。

 北朝鮮は、国連安全保障理事会で「衛星」打ち上げを非難する議長声明が採択されたことに反発して声明を出した。

(2009年5月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ