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社説・コラム

核禁条約に言及せず 首相 バイデン氏会談議題

 菅義偉首相は7日の記者会見で、22日発効する核兵器禁止条約について、2月にも予定される米国でのバイデン次期大統領との会談で話題にするかどうか答えなかった。核兵器保有国と非保有国の「橋渡し役」を務めると重ねて訴えてきた日本政府の立場について、核超大国のニューリーダーに直談判する機会を自ら放棄するのに近い。

 菅氏は核兵器禁止条約を巡り、どのような方針で会談に臨むかとの質問に正面から答えず、「条約は米国を含む核兵器国、また多くの非核兵器国からも支持を得られていない」と改めて指摘。「条約に署名する考えはない」と強調した。

 唯一の戦争被爆国である日本が条約に背を向けるのは、「核の傘」を提供する米国への配慮、との見方がある。これに対し、菅氏は「指摘は当たらない」と述べた。

 連立与党の公明党などは、条約発効後1年以内に開かれる締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求めている。これまで「(参加は)慎重に見極める」と説明してきた菅氏は、この日の会見で参加の可能性をただす質問に答えなかった。(下久保聖司)

(2021年1月8日朝刊掲載)

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