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放射線量の継続調査を 福島原発事故で講演会 東京

 核問題の専門家で、平和活動家でもあるオーストラリア出身の小児科医師ヘレン・カルディコット博士(74)の講演会が7日、東京・六本木の国際文化会館であった。福島第1原発事故に関し、「放射線量がこの数値なら安全ということはない」とし、環境面や健康面の継続調査の重要性を訴えた。

 約60人が参加。博士は、事故直後に甲状腺がんを防ぐヨウ化カリウムの服用指示が徹底されなかった点を問題視し、「医師の立場から大変遺憾で悲しかった」と振り返った。

 放射性物質の放出が続く現状を踏まえ「微量でも放射性物質を吸い込み、食べ物から取り込んでいる」と指摘。政府設定の農作物などの放射線量の基準値を「医学的な根拠はない」とし、「このままだと日本人のがんの発生率が上がるのは確実」と警告した。

 参加者から「放射線を危険視しすぎではないか」との声も出た。博士は「日本は、広島、長崎の被爆者が数十年後にがんなどになる現実を知っている。もっと敏感になるべきだ」と答えた。被災者をはじめ、農作物、水産物の継続的な調査などを提言した。講演会は博士が設立した財団が主催した。(藤村潤平)

(2013年7月8日朝刊掲載)

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