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「核なき世界」へ行動を 広島の被爆者 バイデン氏に要望

 原爆を投下した核超大国の米国の新大統領にバイデン氏が就任したのを受け、広島の被爆者は21日、バイデン氏が被爆地を訪れて被害の実態に触れ、核兵器廃絶に向けて行動するよう求めた。

 「オバマ元大統領が残した『核兵器なき世界』を推し進めてほしい」。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(78)は、広島市役所で会見し、力を込めた。

 バイデン氏は現職米大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏の下で副大統領を務めた。箕牧さんはバイデン氏にも訪問を期待する一方、オバマ政権下でも核爆発を伴わない臨界前核実験は続けられたと指摘。「そういうところからあらためてほしい」と廃絶へ真に行動するよう訴えた。

 トランプ前政権では「使える核兵器」と称される小型核の開発などが進められた。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(76)は、「まず新たな核兵器の開発をやめることを望みたい」と強調。日本の側から、核軍縮を積極的に求めることが重要だと指摘した。

 朝鮮半島の非核化も、新政権の課題となる。県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖(キム・ジノ)理事長(75)は「軍事的緊張が緩和すれば、朝鮮半島の非核化にもつながるはずだ。朝鮮への敵対政策を放棄し、トランプ政権下の朝米会談の精神も引き継ぎながら新しい信頼関係を築いてほしい」と期待。韓国原爆被害者対策特別委員会の朴南珠(パク・ナムジュ)前委員長(88)は「核兵器は無用の長物。バイデン新大統領に良識があるのならば、核軍縮を進めて世界を豊かにしていってほしい」と願った。(水川恭輔、猪股修平)

(2021年1月22日朝刊掲載)

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