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似島に平和資料館 戦争遺構の資料を保存・展示 住民有志「ガイドの会」4月にも開館

「学びを深める場に」

 広島市南区の似島の住民有志たちでつくる「似島歴史ボランティアガイドの会」が、島に点在する戦争遺構の資料を保存・展示する「似島平和資料館」の整備を進めている。来島者の平和学習の拠点とする計画で4月の開館を目指す。12日、メンバーが市役所に松井一実市長を訪ね、入り口の看板の揮毫(きごう)を依頼した。(寺本菜摘)

 資料館は島の南東にある国有地の「慰霊の広場」内で1月に着工。鉄筋の平屋で展示室(約35平方メートル)と事務室(約15平方メートル)を設ける。約1千万円の建設費は市の補助金で賄い、土地は市が国から無償で借り受ける。

 似島は日清戦争から太平洋戦争にかけて軍用施設が建設され、原爆投下時は負傷者も受け入れた。軍用桟橋や軍馬関係の施設といった遺構や慰霊碑が多く、資料館では説明パネルを展示し、発掘調査で見つかった被爆者の遺品を並べる。

 さらに地元の郷土史研究家で同会の宮崎佳都夫会長(72)が所有する第1次世界大戦中に似島に収容されたドイツ人捕虜の日常生活を撮影した写真も展示予定。資料館は当面、申し込みに応じて開ける方針という。

 同会は昨年9月に発足。会員は約15人で、平和学習のガイド養成も進めている。この日、松井市長と面会した宮崎会長は市の支援に感謝し「戦争遺構を実際に見て、資料館で学びを深め、戦争の無意味さを考える場にしたい」と意気込んだ。松井市長は揮毫を快諾し「似島の歴史や文化を子どもたちに伝承する新たな拠点に」と期待した。

(2021年2月13日朝刊掲載)

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