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負傷しながら救護に尽力 被爆神父の歩み紹介 広島平和祈念館

 被爆後の混乱の中、自ら負傷しながら救護活動に力を尽くしたイエズス会の外国人神父たちの軌跡を紹介する企画展「わが命つきるとも―神父たちのヒロシマと復活への道」が1日、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)で始まった。

 幟町教会(現中区)の神父たちの体験記を基に制作した約30分の再現映像を上映する。爆心地から約1・2キロの同教会で被爆したドイツ出身のフーベルト・チースリク神父(1914~98年)の声を、米国出身の詩人アーサー・ビナードさん(53)が担当した。

 外国人を差別する言葉を投げかけられながらも人命救助に当たったことや、長束修練院(現安佐南区)ではスペイン出身のペドロ・アルペ神父(07~91年)とシスターたちが押し寄せる負傷者を治療したことを振り返る。45年12月に焼け跡のバラックでクリスマスのミサを開き、後に世界平和記念聖堂を建設したことにも触れる。

 幟町教会が所蔵する熱線で変形した香炉など約10点を展示するほか、タッチパネル式画面で計9人の手記を読むことができる。初日に訪れた西区の戸井美和子さん(77)は「献身的な姿に胸を打たれた。広島は、いろんな方の力で復興を成し遂げたことを忘れてはならない」と涙ぐんだ。来年2月末まで。無料。(桑島美帆)

(2021年3月2日朝刊掲載)

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