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「被爆者の森」に3本植え直し 広島市、要望受け 北海道・石川・高知の木

 全国の被爆者団体が核兵器廃絶への願いを込めて47都道府県の県木などを植えた「被爆者の森」(広島市中区)で樹木が枯死したのを受けて、市は10日、北海道と石川、高知両県の木3本を植樹した。姿を消した状態を残念がる被爆者団体の要望で、元の場所に植え直した。

 植樹したのは、北海道のライラック(高さ1・0メートル)、石川県のアスナロ(1・7メートル)、高知県のシラカシ(3・5メートル)。市の委託を受けた造園業者の作業員3人が穴を掘って木を植え、肥料を混ぜた土で覆って支柱を添えた。

 3道県の樹木は、近年の気候変動や病気で枯死したとみられる。県被団協(坪井直理事長)と市原爆被害者の会が1月、植え直しを要望していた。

 両団体は併せて、古くなるなどした品種と県名の表示板の改善も求めた。市は現状を確認し、欠落したり劣化したりしていると判断した11道県分を19日までに補修するとしている。事業費は合計で30万円を見込んでいる。

 被爆者の森は平和大通りの東側にあり、広さ約1ヘクタール。日本被団協が1990年に整備し、市に寄贈した。県被団協の田中聡司理事(77)は「森は核兵器廃絶を願い続けてきた被爆者の代弁者のようなもの。木々が育ち、平和学習の場として活用され続けてほしい」と願った。(小林可奈)

(2021年3月11日朝刊掲載)

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