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平和宣言 被爆者の思いを発信 広島市懇談会 素案 大筋で了承

 広島市の松井一実市長は17日、市役所で開いた「被爆体験に関する懇談会」に、8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の素案を示した。原爆投下時の惨状や、その後の偏見による苦しみを訴える被爆者5人の体験談を盛り込む。核兵器の非人道性に焦点を当て、再び使用しないよう求める国際的な共同声明への賛同を政府に促す。

 懇談会には被爆者たち委員8人が出席し、非公開で素案を検討した。松井市長によると宣言の前半で被爆体験を引用。公募に寄せられた国内外の56人のうちの3人と、委員が独自に持ち込んだ2人の体験談を通じ、心身の傷や差別を乗り越えて核兵器廃絶を訴える被爆者の思いを伝える。

 廃絶をめぐる国内外の情勢に対する市のメッセージは後半で発する。約80カ国が賛同した「核兵器の人道的影響に関する共同声明」への署名を見送った政府に対し、批判を避け、今後の参加を後押しする。安倍晋三首相が憲法9条の改正に意欲を示す中、平和を求める市の立場から憲法に言及するという。

 素案は大筋で了承された。松井市長は今後、字句の修正を進め、8月上旬に宣言の骨子を発表する。懇談会後、記者団に「被爆の事実を認識し、原爆はあってはならない、と発想してもらえるよう仕上げたい」と話した。(岡田浩平)

(2013年7月18日朝刊掲載)

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