×

ニュース

核廃絶推進「HOPe」 広島県来月始動 交渉役を配置

 広島県は17日、2030年までの核兵器廃絶の国際合意を掲げる「ひろしまイニシアチブ」の推進へ、4月1日に設ける新組織「へいわ創造機構ひろしま(HOPe)」の概要を発表した。各国政府や国際非政府組織(NGO)との交渉役を置き、島田久仁彦氏(45)=東京都=を起用する。

 HOPeは県内6大学や国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(広島市中区)でつくる「ひろしま平和推進ネットワーク協議会」を発展させ、20団体でスタートする。核抑止に代わる安全保障の研究や核兵器廃絶に貢献する人材の育成、平和を実現する情報・資金集めを担当する。事務局を県平和推進プロジェクト・チームが担い、国際連携担当監を新設する。

 島田氏は政策作りと交渉のまとめ役「プリンシパル・ディレクター」に就く。4月以降、県庁を月2回程度訪れ、都内では外務省や各国大使館との協議を担う。県は21年度一般会計当初予算で820万円を確保し、業務委託契約を結ぶ。

 島田氏は大阪府松原市出身で、米ジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院修士課程修了。国連で紛争調停に従事し、環境省では気候変動問題の交渉に当たった。現在は企業などに交渉や危機管理の助言をする会社の社長を務める。

 この日、湯崎英彦知事と県庁で記者会見し「核兵器ではなく、協調を通じた安定を目指す。同じ方向性を持った人を集め声を大きくする」と抱負を語った。日本政府は核兵器禁止条約を批准した上で、欠点があれば正す交渉をすべきだとの見解も示した。

 県は併せて、ひろしまイニシアチブの骨子の確定版を発表した。核兵器廃絶の国際合意をはじめ、世界の全ての国による禁止条約の批准▽核兵器に依存しない安全保障▽国、国際機関、市民社会が協働する場の構築―などを掲げている。(宮野史康)

(2021年3月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ