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中沢作品を振り返る夏 広島市中区で「はだしのゲン」原画展

映画上映や展示相次ぐ

 広島市中区出身の漫画家中沢啓治さんが描いた代表作「はだしのゲン」の原画展が19日、中区の原爆資料館で始まった。亡くなって初めての8月6日が近づく。連載開始から40周年という節目でもあり、被爆の実態を伝える中沢作品を学び、平和への願いを受け継ぐため、市内の4施設でも展示会や映画上映が相次ぐ。(折口慎一郎)

 原爆資料館では「はだしのゲン」の原画など計65点を9月1日まで展示する。未完となった第2部の下書き16ページ分を初公開。昨年12月に73歳で亡くなった中沢さんの妻ミサヨさん(70)が寄贈した。上京したゲンが空襲で両親を亡くした少年と出会う場面が描かれている。この日はミサヨさんが訪れ、志賀賢治館長の案内で鑑賞した。

 8月から米国の大学に留学する大阪府豊中市の佐野大海さん(18)は「被爆者の傷ついた姿を絵で見て、衝撃を受けた。米国人にも伝え、対話を深めたい」。大阪市から帰省した呉市出身の大学4年岡川宏和さん(22)は「高齢化する被爆者の体験を受け継いでいく」と誓っていた。

 市立中央図書館(中区)、市こども図書館(同)、市映像文化ライブラリー(同)、市まんが図書館(南区)の4施設も連携。7月20日から9月1日まで、漫画、絵本、翻訳本の展示や中沢さん原作の映画上映をする。

 また、中区のNPO法人「一念発起」は、同資料館の1階売店などでゲンの象徴である麦穂の販売をしている。1袋315円。全国で育てて、収穫した麦の一部を法人に送り返してもらう。

<今夏に企画された中沢さんの作品の展示や上映会>

市立中央図書館 7月20日~9月1日 14カ国語の翻訳本の展示
市こども図書館 7月20日~9月1日 絵本や紙芝居の展示
市映像文化ライブラリー 8月 1 ~  6日 原作映画「クロがいた夏」など上映
市まんが図書館 7月20日~9月1日 連載時の少年ジャンプや漫画の展示


※いずれも月曜日定休。図書館の3施設は7月31日は休み

(2013年7月20日朝刊掲載)

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