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被爆者手帳 「救護」の申請急増 通常の4倍

■記者 東海右佐衛門直柄

 原爆投下後に救護をした人たちの被爆者健康手帳の交付申請が増えている。広島市が救護被爆の申請却下をめぐる訴訟で敗訴し、交付要件の緩和を表明したのが要因。市が控訴を断念した4月7日以降の1カ月間で通常の約4倍に当たる22件に上っている。

 救護被爆は、被爆者援護法第1条3号に定める「身体に原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」を指し、「入市被爆」の区域外が対象。

 市援護課によると、市が控訴を断念した4月7日-5月6日は救護被爆の交付申請が22件に達し、入市被爆なども含めた全申請42件の半数以上を占めた。これまでは月5件前後だった。

 救護被爆の申請者の半数程度は再申請とみられ「過去に却下された際の資料が見たい」との問い合わせも相次ぐ。証人が集められないなどの理由で申請を断念していた人たちの相談も多いという。

 救護被爆をめぐる3月25日の広島地裁判決は「被爆者が多数いた環境に相応の時間とどまり、放射線の影響を受けたことを否定できない」と指摘。元原告7人への却下処分を違法とした。

 市は内部で定めていた「1日10人以上の輸送、救護、看護」との交付要件を廃止。広島県、長崎県市と新指針づくりに入っている。訴訟を支援してきた県被団協(金子一士理事長)は「被爆者は残された時間が少ない。早期に指針をまとめてほしい」と求めている。

(2009年5月8日朝刊掲載)

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