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参院選を終え 圧勝 島根選挙区 島田さん 

原発・TPP 課題残す

 21日投開票された参院選島根選挙区(改選数1)は、自民党新人の島田三郎さん(57)の圧勝で幕を閉じた。だが中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の稼働の是非など重要課題に踏み込まず安全運転で切り抜けたとの見方も根強い。今後、党主導の国会で、どう有権者の民意に沿った判断を下すのか。宿題の多い船出となった。(樋口浩二)

 18日、島根原発の南西約2キロの鹿島町古浦地区の街頭で演説した島田さん。約6分の訴えの中で原発の話題には一切触れなかった。

 見守った約60人の聴衆の一人、新宮真さん(74)は「原発への考えを聞けると期待していた」と落胆。稼働には賛成でも反対でもないというだけに「地元の代表になろうとする政治家の思いを聞きたかった」とこぼした。

陣営内に不満

 世論調査などで優勢とされる中、あえて慎重な物言いに徹したと見る向きもある。「意見が対立するテーマに、あえて踏み込む必要はないとの思惑が透けて見えた」。ベテラン県議がこう指摘したように、選挙中は陣営内にも不満があった。

 中盤以降、島田さんは街頭で「エネルギー問題は島根に軸足を置いて判断する」と訴え始めた。だが原発の2文字は最後まで封印した。22日、安来市の自宅で会見した島田さんは「5分間の演説で触れても誤解を与える話。これから丹念に説明する」と誓った。

 
増す説明責任

 「島根県の利益を守ることを第一に考える」。島田さんは21日、松江市の当選報告会で抱負を述べた。見守ったある県議は言った。「政策の具体論を示さなかっただけに、今後の説明責任はいや応なしに増す。難しい船出だ」

島田さん 一夜明け会見

原発稼働は国が判断

 初当選した島田さんは22日朝、安来市内の自宅で会見し、当選から一夜明けた心境と県内の重要課題への対応を語った。島根原発1、2号機の再稼働と3号機の稼働は「国が責任を持って判断する問題」と述べ、稼働の是非は国が決めるべきだとの考えを示した。

 日焼けした顔で応接室のソファに座った島田さん。全体の6割近くの票を得ての当選に「国会議員秘書だっただけに役目の重さがわかる。重責を感じる」と切り出した。

 島根原発の稼働判断では「最終判断を地元自治体に任すのはいかがなものか」と指摘。だが、稼働に対する地元自治体の意見の反映方法については「具体的に述べる段階にない」と明言を避けた。

 投票率は60・89%と過去の参院選で最低を記録した。「調子が良い時は(有権者が)なかなか選挙に行かない。安倍政権が受け入れられた証しでもある」と述べた。(樋口浩二)

(2013年7月23日朝刊掲載)

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