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似島に平和の新拠点開館 「資料館」住民有志が整備 被爆者の遺品など100点

 旧日本軍の遺構があり、原爆投下直後に多くの負傷者が運び込まれた広島市南区の似島に11日、「似島平和資料館」が開館した。住民有志たちでつくる「似島歴史ボランティアガイドの会」が平和学習の拠点として整備し、戦争遺構に関する資料や被爆者の遺品など約100点を並べる。

 島の南東部にある「慰霊の広場」にオープンした資料館は、鉄骨平屋約50平方メートル。軍用桟橋や軍馬関係の施設といった遺構の説明パネルをはじめ、ベルトのバックルなど、発掘調査で見つかった被爆者の遺品を中心に展示している。

 似島には日清戦争から太平洋戦争にかけて軍用施設が建設され、外国から帰った兵士たちの検疫所や捕虜収容所などが置かれた。原爆投下直後、臨時野戦病院となった施設には多くの負傷者が収容された。

 資料館を整備、運営する同会は、「軍都広島」を伝える島の歴史の風化を懸念して昨年9月に発足。市の補助金を活用した資料館建設と並行し、市と共催で約20人のガイド養成に取り組んでいる。

 現地でこの日あった記念式には、同会メンバーや松井一実市長たち約80人が出席した。地元の郷土史研究家で、同会の宮崎佳都夫会長(73)は「若い世代に戦争の悲惨さを伝える場にしたい」。被爆者の空民子さん(79)=中区=は「平和について考える人が増えるきっかけに」と願っていた。

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、資料館は当面、電話での申し込みに応じて開ける。同会☎082(259)2120=平日午前10時~午後5時。(中間卓也)

(2021年4月13日朝刊掲載)

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