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永井隆記念館 装い新た 出身の雲南市三刀屋で20日 直筆の掛け軸・平和の鐘設置

 島根県雲南市三刀屋町出身で、長崎で被爆しながら救護に当たり、記録を残し続けた永井隆博士(1908~51年)を顕彰する永井隆記念館(同町)が20日、リニューアルオープンする。老朽化のため市が建て替え、展示室を広げた。執筆の随筆「長崎の鐘」の演劇を見て感動した博士が主演の役者に贈った掛け軸など、ゆかりの品を展示する。(寺本菜摘)

 改修した記念館は鉄骨平屋で、約580平方メートル。展示室では永井博士の生い立ちや被爆時の様子を紹介し、友人や恩師に宛てた絵はがきなど約100点を並べた。

 役者に贈った掛け軸には博士直筆の歌詞が書き込まれている。原爆の焼け跡から博士が見つけ出した緑夫人のロザリオの複製などを新たに展示した。駐車場に新たなシンボルとして、全国からの寄付で建立した高さ約6メートルのモニュメント「平和の鐘」を据えた。藤原重信館長(63)は「明るい雰囲気の展示室になった。博士の生きざまや振る舞いを感じてほしい」と話す。

 児童書など約5400冊を置く図書室は、旧館の約2倍に広げた。団体の平和学習の受け入れや自習などができる多目的室を併設。顕彰図書室には博士の著作や平和に関する本などを置く。建設費は約3億1千万円。

 同館は1970年に旧三刀屋町が博士を顕彰するために建設した。トイレがないなどの理由で2018年5月に閉館、解体。20年9月に新館が完成し、市が開館準備を進めてきた。

 18日には永井隆平和賞発表式典を開く。展示室観覧料は19歳以上が300円。図書室無料。午前9時~午後5時。月曜日と祝日の翌日は休館。

(2021年4月15日朝刊掲載)

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